マジックがどれほど尊いものなのか、考えてみたことはあるでしょうか? マジックはただの演芸でもなければ、その場しのぎのお慰みでもありません。 本書では、マジックが人間の生命や精神と深くつながってきたことが、(そして現在でもつながっていることが、) 数々の事例を基に示唆されていきます。 太古の人々の生活を探る文化人類学の調査、聖書の一節、カフカの小説にまで言及され、 日本の文献として一休禅師の言葉までが引用されています。 日本語訳にあたっては、緻密な文献調査のほか、 各分野の専門家の意見を伺うなどして、 正確な翻訳に努めました。 マジックには極めて重要な意味が込められています。 演者自体がそれを体現し、 演技を通して観客に伝えられた時、 そのマジックは観客の心に確実に刻まれることでしょう。 本書で解説される7つのマジックは、 観客の心に届くマジックを演じるという著者の狙いを形にした、 わかりやすい事例となっています。 初心者から専門家まで、 本書を読まれることで その方なりの新しい視界が開け、 進むべき道が自ずと明らかになってくることに疑いはありません。 - 田代 茂(翻訳者)
「マジックと意味」はマジシャンにとって重要な本ですが、 その内容は英語を読む人たちだけのものでした。 その理由のひとつは、 本書の思想が繊細かつ難解で翻訳が容易ではないからです。 田代茂博士は、その能力と信念のもと、 バーガーとニールの言葉を忠実に再現しつつ、 その翻訳を堂々と完成されました。 彼の翻訳は、 自らの演じるマジックと自らが対峙する観客とを 大切に思う日本のマジシャンならどなたにとっても注目に値する成果といえます。 - Stephen Minch(原著の出版社「HERMETIC PRESS」の経営者)